時代劇や浮世絵ではポピュラーな渡し船。昔は『渡りに船』の慣用句が生まれるほど日常的な光景だったのでしょうが、今や利用したことがある人は少ないと思います。
しかし大阪市には令和の今も渡し船が存在しています。今回は市内に8か所ある渡船場のひとつ、天保山渡船場から実際に渡し船で安治川を渡ってきました。
海遊館とユニバーサルスタジオジャパンを最短距離で結ぶルートです。ぜひ大阪観光の際には船で川を渡ってみてください。
大阪市の公営渡船
大阪市には公営の渡船場が8か所あり、主に地域住人の通学・通勤など日常の交通手段として利用されています。
現在も渡し船を運営する自治体は全国にいくつかありますが、これだけの数が運営されているのは大阪市のみだそうです。すべて無料で乗船できるのも公営ならでは。
なお渡船場にはそれぞれ川の両岸に船着き場があるため、乗り場自体は16か所です。
天保山渡船場
天保山渡船場は安治川の両岸に船着き場があります。海遊館のすぐ近くの『築港側』と、ユニバーサルスタジオジャパンの近くの『桜島側』です。
築港側は天保山公園の一角にあり、今回はこちらから渡し船に乗りました。
天保山渡船場への行き方
まずは天保山公園の中へ入っていきます。公園の入口から渡船場までは200メートルくらいです。
公園を真っすぐ進み、石碑のある分かれ道を左方向へ進みます。右手の階段は山頂への道です。
壁のタイルアートに『天保山渡船乗り場、約100m先き』の案内。わかりやすい!
タイルアートを見ながら100メートルほど進むと…
天保山渡船場と渡し船が見えました!
建物は待合所で、中にベンチがあります。すでに数名待っていました。
渡し船の乗り方
渡し船は無料で乗れるため、チケットや受付などは一切ありません。渡船場へ来て時間になったらただ船に乗るだけ。
船はすでに停泊していますが、出航時間まで門は閉じられています。船体や門に大阪市の市章が描かれており、市営だとわかります。この船の名前は『海桜』です。
天保山渡船場の時刻表。日中ほとんどの時間が30分に1本の運航です。朝夕のみ15分間隔、20分間隔での運航なのは通学・通勤客が多いためでしょう。
川を渡る
出航時間が近付くと建物2階から渡船場の職員さんが下りてきて、船のエンジンをかけたり準備が始まります。
門が開けられたら乗り込んでOK。人間以外に自転車を乗せられます。今回は乗客8名ほどで、半分くらいは自転車を乗せていました。
この橋は阪神高速で、右手の建物は『リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』です。橋と建物と間に見えている黄色い建物がUSJです。
渡し船はUSJで働く人もよく利用しているそうで、今回もUSJのキャストと思われる外国人が3名ほどいました。
写真中央の水色のものが桜島側の船着き場です。あそこまでの約400メートルほどのクルーズです。
安治川から見る海遊館の観覧車。普段あまり船に乗る機会がないので、ただ船に乗るだけでもけっこう楽しいです。
この場所は大阪湾の河口近く。近年大阪湾の水質が浄化されているそうで、嫌な臭いもなく水もけっこう透き通っています。臭い海より良いように思いますが、魚の栄養が足りず漁獲量が減少するなどの影響もあるようです。
1~2分ほどで対岸の船着き場に到着。本当にあっと言う間に着きました。そして桜島側で待っていたお客さんが乗り込み次第、船はすぐに築港側へ戻っていきました。
桜島側の待合所。同じく中にはベンチがあります。自動販売機などはありません。
公営だからか、ルールが細かく記載されています。
『次に該当する旅客は乗船をおことわりします』の項目にある『遺体』は、わざわざ書かないといけないのだろうか…
今回の目的は移動ではなく、ただ渡し船に乗ること。30分経って船がやってきたので、再び1~2分のクルーズを楽しみ天保山まで戻ります。右側の赤色の建物が海遊館です。
海遊館・ユニバーサルスタジオジャパン間を移動する場合、電車だと大阪メトロ(地下鉄)、JR環状線、JRゆめ咲線と2回も乗り換える必要があります。
ところが渡し船だと無料で最短距離の移動が可能。ユニバーサルスタジオの入口から桜島側の渡船場までは少しだけ距離がありますが、DiDiやUberなどのタクシーアプリを使えば効率的です。
大阪観光で両方行きたい方はぜひ活用してください(^<^)
天保山の山頂から見る渡船場
ちなみに最初の天保山公園の分かれ道で、右手の階段を上るとすぐ山頂です。1分くらいで登頂できるのでついでに行ってみてください。
標高4.53メートルの山頂からも渡船場と渡し船が見えています。
天保山と言えば日本一低い山として(大阪人の中では)有名で、この看板にもそう書かれています。…が、実は2014年以降、日本で2番目に低い山になったそうです。
東日本大震災の影響で宮城県の日和山の標高が下がっていたことがわかり、日本一低い山の座を明け渡したとのこと。
この地面に埋め込まれている石が天保山の『三角点』です。
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